25回大会 審査員からのメッセージ

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西垣吉春

映画監督
西垣 吉春
(審査委員長)

身近出来事で発信!

 皆さんの周りには沢山の素材があります。日頃見落としている素材の事です。或いはテレビ局をはじめとするメディアが取り上げないような素材・テーマです。隣のおばあちゃんの事。身の回りの生き物の事。祭や民話など。或いは語り継がれる迷信。数え上げればきりがないことでしょう。
自分で価値が無いと思い込んでいる物でも、撮り進んでいくと意外と面白いテーマにぶち当たるものです。

 私はそんな皆さんの身の回りにある素材を取り上げてほしい。例えばお寺の住職が替った。何故替ったのか?跡取りは居なかったのか?そこに、その他もろもろの問題が提起されてくると思います。これを皆さんの手で映像化してもらうと、プロが視聴率を気にしながら製作する作品とは一味も二味も違った、アマチュアらしい作品が出来上がるのではないでしょうか?兎に角身の回りの事象を見つめなおすことから始めて欲しい。

 今回の「真帆ちゃん」「スズメのアパート」は、身近な出来事からの作品で、訴える力を持っていた。随分と沢山の素材を集め、そこから選抜された映像が 一つの作品として纏め上げられ、輝いたように思える。

 阪神淡路大震災後は、その関連の作品がたくさん出品されたが、東北大震災後、その関連作品にお目にかかれないのは残念である。テーマが大き過ぎるのかもしれないが、身近な出来事に視線を是非当てて貰いたい。例えばボランティアで参加した経験、感想とか・・・皆さんの視点を是非拝見したい。

森田
NHK神戸放送局
放送部長
森田 尚人

捨てる勇気を

 よい作品を作る上で大切なのは捨てることではないか。審査をしていて、そのような考えが頭に浮かびました。作品のひとつひとつから皆さんの思いが伝わってきます。しかし、その思いの中には、皆さんの成長を阻む煩悩のようなものも感じるのです。より面白く、感動を生む作品を作るために、次の三つを捨てる勇気を持ちましょう。

「執着を捨てる」
 苦労して撮った映像。思い入れのあるシーン。皆さんはご自分の撮った映像への愛情を感じていることでしょう。しかし、その愛を執着にしてはいけません。その映像を作品に使うかどうかは、あくまでも他の人が見て面白いか、共感してもらえるかで決めなければいけません。どんなに愛着のある映像でも他の人に伝わらないと思ったら、修行だと思って捨てましょう。そのたびに一歩ずつ、悟りと大賞に近づくでしょう。

「人情を捨てる」
 作品が冗長になる原因の一つが、撮影に協力してもらった人への配慮ではないでしょうか。編集している時に「このシーンはない方がすっきりするのだが、せっかく撮らせてもらったし・・。」そんな気持ちが働くことはないでしょうか。そんな時は人情と一緒にそのシーンも捨てましょう。非情になりきれない優しい方は、コンクールに出品する作品とは別に、お世話になった人がたっぷり出てくる別バージョンを作ってみてはいかがでしょう。

「成功体験を捨てる」
  今回、審査をしていて、どこかで見たような作品だなと感じることが何度かありました。たいていは以前にも入賞されている方の作品でした。「前はこれで入賞したから、これからもこれでいい。」そんな考えにとらわれていないでしょうか。実績のある方こそ過去の成功体験を捨てて、新しいテーマ、新しい手法に挑戦して下さい。失敗するかもしれません。でも冒険してこそ新しい境地が開けるのではないでしょうか。

瀬川均

(株)サンテレビジョン地域情報担当部長
瀬川  均

作品に「生きる」を噛みしめて

 

 「生きる」をテーマに、心のふるさと篠山で行われる25回目の記念大会。人間も動物も、そして自然さえも健気に懸命に生きています。平坦な人生や暮らしなどありません。その姿をどんな風に写した作品が登場するのか?今回も心躍らせる審査となりました。
 大賞に輝いた『最後の田んぼ』は、開発が進む都会で水田を守り、子供たちに体験学習の場を提供してきた高齢の男性がやむなく引退する姿を追ったメッセージ性の高い作品でした。日本の伝統文化を形作ってきたとも言える「田んぼ」という原風景が無くなって行く寂しさ、都市化や高齢化が抱える現実的な問題や不条理を淡々とした描写と語りで問いかけ、心に響きました。
 創造農村賞『真帆ちゃん』と知事賞『ささやまのばあばあの願い』の2作品は、山間僻地の小学生や離れて暮らす孫との交流を暖かな視線で描いた力作でした。暮らしぶりやその思いをさらに掘り下げれば、よりテーマが明確となり訴求力が増したのではないかと感じました。
 サンテレビ賞の『大型書店がやってきた』は、今日的な社会派のテーマに取り組んだ作品で、地域の本屋を守るために頑張る主婦たちのパワーが丹念に描かれていました。自分たちの問題として発信していて意気込みを感じる秀作でしたが、人物像や背景にもっとスポットを当てれば、さらに共感を呼んだ事と思います。
 一般的にアマチュアの方の作品は、記録や紹介に留まる傾向が強いように感じます。ひと手間かけ少し踏み込めば、よりメッセージが伝わるのにと残念です。どんな「生きざま」を伝え、何を語り、共感を呼ぶかが問われます。取材テーマを縦糸に、人生の機微や喜怒哀楽などの横糸を織り込み、「思い」を共有できる作品として仕上げて行く事が大切です。
プロの作り手とは違った個性豊かな着想と目線で、身近な等身大の「生きる」を切り取るチャレンジングな作品づくりに期待します。

酒井勝彦

視聴覚ライブラリー経験者
酒井 勝彦

あなたのメッセージを伝えませんか

 篠山がアマチュアビデオコンクールを続けているのは、豊かな生涯学習の一つの表現です。それは、「私はこのように生きている」ということを、画面を通して周りの人に伝えて欲しいという「願い」があります。

 対象は必ずしも自分のことではなく、隣の方のことでも良いのです。大事なのは「私はこのように感じた」という「作者のメッセージ性」がほしいのですね。

 「アマチュアは自分の日記のようなものを作る」と言われる場面もありますが、「日記」の中にこそ、自分の「思い」が一杯つめこまれているのです。それこそ、「夢」と「願い」の宝の山なのです。プロの真似をする必要はありません。4半世紀にわたって、一貫して問いかけて来たテーマは、「次の世代へのあなたのメッセージをみんなに伝えませんか」ということだったのです。上手に作品を作るコンクールではないのです。うれしいことを、悲しいことを、生きた証しとして残していこうではありませんか?

奥野勇

実行委員長
奥野  勇

すべては繋がっている

 おかげさまで記念の25回大会を迎えることが出来ました。今まで携わってこられた関係者の皆様・作家の皆様に対し感謝の気持ちでいっぱいです。

 今回、大賞に輝いた「最後の田んぼ」は、表現は決して強いとは言えないのですが、現在社会の抱える問題点(生の声)を市民の目線で上手にえぐり出しており、何年か後には貴重な映像として、見れば見るほどボディブローのように存在感を増すであろうと想像できる作品です。

 創造農村賞の「真帆ちゃん」も同様に、地方の抱える過疎の問題を、真帆ちゃんへの期待と不安で表現した作品でしたが、それは同時に、地域の期待と不安でもあるはずです。もう少し地域の抱える具体的な問題と重ね合わせれば、さらに良かったのではないかと思います。

  欲を言うならばどちらの作品も、作家の意見(メッセージ)をもう少し表現して欲しかった。すべては繋がっています。そこに期待しつつ、何年かを経て続編をぜひ見てみたいものです。

 作品を作るということは、最初は記録的な意味合いが強いですが、それをきっかけとして問題の本質や人の内面に触れてくると、 作品作りはどんどん味わい深いものになっていきます。それは作家の感性を豊かにし、深く磨いてくれるものでもあります。 作家の伝えたいメッセージがどれだけ伝わり「おお!なるほど!」「へ~ぇ、勉強になるわ」と共感を呼べたか?がポイントです。

 さぁ、あなたもチャレンジしましょう!まずは第一歩・・・記録だけでも良いです。素材を撮っていれば、やがてそれらは繋がってきます。映像を通じて人生を大いに楽しんでください。

  「生きる」とは・・・  皆さん誰にでも、どんな状況にあっても「目標」があると思います。私は「目標に向かって悪戦苦闘(奮闘)する過程」こそが「生きる」ことなのだと思っています。

 


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