24回大会 審査員からのメッセージ

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西垣吉春

映画監督
西垣 吉春
(審査委員長)

素材を一杯集めよう!

 応募規定に8分以内と定められている。3分でも5分でも良いと言う訳だが、応募作品のほとんどが8分近くに纏められている。8分にやっと足りたものもあれば、8分以内に凝縮された作品もある。
 普通8分の作品にするには、使用できる素材が60分以上あって、まず30分位に纏め、次に20分、15分、12分、10分と絞り込みたいものだ。最初のプラントがどんどん変形していく。思わぬ世界が開けてくる。テーマだけ見失わなければ、それでもいいのではないか・・。8分の予定が5分になってしまった。
 これは成功。3分で充分な作品が8分になると作品の魅力がそれだけ落ちることを肝に銘じて貰いたい。何回も何回も反芻してもらいたい。7,8割出来上がったところで1ケ月ほど作品をねかせてみると、冷静さが生まれてくる。
 今回、黒田敏彦氏の作品「家族で受け継ぐ無形文化財」が大賞になった。約20分の作品を8分以内に編集しなおしたと言う。何度も、何度も練り直したことが窺える。その上一枚一枚の絵(映像)に力があった。沢山の素材の中から選ばれた絵が、黒田作品として登場したのだろう。能登の揚げ浜塩田の一家の生きざまが作者に乗り移り、その作者の情念が観客に伝わった作品であった。
 沢山の素材に中から、作者お気に入りの一番の映像は、できるだけ長く一回だけ効果的に使用する。一枚の絵(映像)が単行本一冊分に値することだってある。 これが映像作りの醍醐味であるのだってことを知ると、作品製作の楽しみが増す筈である。

森田
NHK神戸放送局
放送部長
森田 尚人

伝えたいという気持ちを形に

  

 皆さんはなぜビデオ作品作りに取り組んでいるのでしょうか。賞金が欲しいから?賞を取って褒められたいから?違いますよね。自分が目にして面白いと思ったもの、心を打たれたものを他の人にも見てほしい。自分が感じた感動を伝えたい。そんな気持ちからではないでしょうか。
 そうした意味で、作品は完成すれば終わりではありません。見てくれて、感動してくれる人がいて初めて意味を持つのです。伝えたいという気持ちを形にするにはどうしたらいいか、そんな観点からいくつかアドバイスさせていただきます。

【テーマ(素材)】
 当たり前のことですが、自分が興味を引かれたものを選びましょう。興味もないのに審査員に受けそうだからと選ぶのは論外です。この点については、今回、各賞を受賞した作品はいずれも身近で発見した素材や長年追いかけてきたものを扱ったものでした。良かったと思います。

【見る人の立場で制作】
 伝えたいことが決まったら、それをどう撮影、編集すれば伝わるのか考えましょう。ここでの最大の敵は自己満足です。初めて見る人に理解できるか、興味を持ってもらえるか、他人になったつもりで徹底的にチェックしましょう。できれば誰かに見てもらって問題点を指摘してもらいましょう。プロの作品でも必ず試写をして何度も修正します。

【タイトル】
 タイトルも意外と重要です。内容がイメージでき、興味を引くタイトルを工夫しましょう。今回の受賞作の中にも、タイトルが内容にそぐわず損をしている作品がありました。

【長さ】
 今回もほとんどの作品が規定の8分に近いものでした。受賞作であっても、必ずどこかに中だるみした退屈な部分がありました。この半分の長さでも意外と多くのことを伝えられます。無駄に長い作品を見るのは苦痛です。素材を厳選して、よりコンパクトな作品を目指しましょう。

瀬川均

(株)サンテレビジョン地域情報担当部長
瀬川  均

映像に思いを込めて

 大賞の『家族で受け継ぐ無形文化財』は、4世代に渡って受け継がれる能登の伝統的な製塩を紹介し、迫力ある映像が印象的でした。黙々と作業をする顔にしたたる大粒の汗が、そこはかとなく「人生」を訴え、「生きる」という事をしんみり感じ入る作品でした。撮影や編集、音の処理等も技量が高く総合的に優れていて、安定感がありました。
  知事賞の『手紙』は、不登校の女子生徒と同級生との手紙を通した心の交流を描き、高校生達が制作しました。毎年、この高校では社会性の高い今日的なテーマを取り上げ、自分たちの問題として発信していて感銘を受けます。若い人の感性と意気込みを感じる作品でした。
  サンテレビジョン賞の『お茶の香りに誘われて』は、丹波茶まつりで出会った在宅支援ボランティアのふれあいを描いた作品です。「おもてなしの心」を大切に、明るく元気に頑張る老婦人の姿が見る人の心をほんわかと前向きにし、等身大の「生きる」が自然な形で滲み出ていました。
  いずれも力作ぞろいでしたが、総じて言えば単に記録や紹介に留まらず、もう少し深く掘り下げればもっと共感を呼ぶ作品になるのにと、残念に思う部分がありました。
  例えば出会いと別れ、喜びと悲しみ、人生の一端を感じる事が出来る「生きる」があればと思います。紹介や説明はナレーションで、その人にしか語れない思いはインタビューを基本に、表情も含めどう見せるか、シーンのメリハリと余韻にも配慮が必要です。
  つまる所は、作り手と見る人が思いや感情を共有できるかが問われます。その作業は、自分が興味を持ち、心を動かされた点は何なのか見つめなおし、整理し、再構築する事から始まると思います。 プロの作品とは一味違う、心にひびくチャレンジ精神を持ったオリジナリティー豊かな作品が生まれる事を今後も期待しています。

酒井勝彦

視聴覚ライブラリー経験者
酒井 勝彦

篠山がめざすもの

 丹波篠山ビデオ大賞も四半世紀を迎えることになります。テーマの表現はいろいろと変化がありましたが、一貫しているのは、『わたしはどう生きたのかといううことを残す』ということでした。
 最近は、めざましい機器の進歩と編集ソフトによってきれいなビデオを作ることができるようになりました。しかし、篠山で待っているのは作者の「こころ」なのです。「生きていて良かったー!」ということを、作者の目を通してみんなに伝えて欲しいという一点なのです。そして、そういう想いで私は第1回から関わって来ました。
 コンクールですから、撮影や編集技術が優れていることも大切でしょう。景色が美しいことも大切でしょう。しかし、それよりも何よりも、作者の前向きで純真な気持ちと訴求力こそが、大賞に求める私たちのテーゼなのです。
 出品作品を作るプロセスで、悩み、苦しみ、成長し、自分と他者の命を見つめていただけることを「願い」としたコンクールなのです。そういう意味では、「画面に出てくる主人公を作者がまとめる」のではなくて、「作者の思いを主人公に語らせる」ということなのですが、傍観者的なまとめ方をされている方が多いのを残念に思います。本当の主人公は、作品を作っているあなたなのだということを忘れないでほしいのです。
 8分以内という時間制限がありますが、これは、「8分を超えないでね」ということです。5分でも6分でも、言いたいことがきっちりまとまっていれば、それはそれで良いのです。アマチュアビデオのマッターホルンにたなびくペナントを掴みに登って来てください。「私はこんなに輝いて 私なりに今を生きていますよ」と、今を一緒に生きている人たちに伝えようではありませんか。

奥野勇

実行委員長
奥野  勇

今年の大会で印象に残る作品、振り返っての感想

 今年の作品は、全体にレベルが高かったと思います。
  素材の見つけ方で見ると身近なものから珍しいものまであり、非常にバラエティにとんでいました。

 「家族で受け継ぐ無形文化財」・・・
 この作品を見た多くの人が「へぇ~」「おぉ!」「そうなんだ~」と、 新しい発見をしたことでしょう。
 高校生の2作品も高校生ならではの視点で、メッセージはしっかりと私たちに伝わってきました。
  アマチュアらしさという視点で見ると、「お茶の香りに誘われて」は他の作品にない、コミュニティに入り込んで同じ目線で 生の声を取材している・・・という点で優れていました。
  もうひとつ面白かったのが「ビデオの花道」・・・
  これはビデオ大賞の得点には換算しにくいのですが、作者の生きる姿が究極に 表現されていて、個人的には「あっぱれ」を差し上げたい。

  ・「生きる」とは・・・ 「目標がある」ということ。

  ・アマチュアの作品作りとは・・・
    作品作りは人生を見事に豊かにしてくれます。
    映像を通じて(作品作りを通じて)人生を大いに楽しんでください。     興味のある人は、身近な所からとにかく始めましょう!

 


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