32回大会を終えて 審査委員からのメッセージ

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西垣

映画監督

西垣 吉春
(審査委員長)

果敢な挑戦を!

 毎回、今年はどんな作品が鑑賞できるのか楽しみにしています。新しい挑戦をする人、作品の質をどんどん上げていく人、人柄が偲ばれる作品を纏め上げる人などに出会えるのは、アマチュア作品ならではの醍醐味でもあります。ただ第一次審査で選外になった作品の中に、過去にあった事実をアルバム的に並べただけのものがあり、折角の出品なのに残念に思います。
 やはりコンテストである以上、他人様に鑑賞して貰うわけでありますから、作者の主張なりを一言(一画面)表現してもらいたいものです。
 今回は、お芝居仕立てにした作品があり、嬉しく思いました。映像祭である以上、アニメであったり、劇仕立てであったり、ドキュメントであったりと、多様な作品が集まることを期待しています。
 作品制作にあたって、キャメラ・アングルによって、今回新鮮さが増幅した作品がありました。
「僕とおじいちゃん~里山に生きる動物たち~」の暗視キャメラの映像。「大空に一番近い場所」のグライダーからの映像。「GO TO丹波篠山」の二階建てバスのオープンデッキからの映像などは、日頃見られないキャメラ・アングルで魅力を感じました。
 こうした映像がワン・カットでも入ると、ついつい引き込まれてしまいます。
                          (京・嵐山にて)

能美

NHK神戸放送局
放送部長

能美 龍太郎

丹波篠山映像大賞の審査を終えて

  

 初めて審査員を務めた今回の「丹波篠山映像大賞」。驚いたのは、応募作品一つひとつのレベルの高さでした。中でも、大賞を受賞した「僕とおじいちゃん~里山に生きる動物たち~」は、私たちが普段なかなか見ることのできない野生動物が次々に登場。NHKの番組「ダーウィンが来た」を彷彿とさせるドキュメンタリーに仕上がっていました。
 人間が自然に一定の手を加えることによって、動植物とバランスのとれた共生関係を築いてきた里山は、少子高齢化や過疎化によって姿を変えつつあります。このドキュメンタリーは、そのことを考えさせる内容にもなっているのですが、お孫さんの目線で描いたことによって、肩肘張らず、見やすい作品にまとめたところが秀逸でした。
 また、作者自身がワクワクしながら動物を撮影する仕掛けを作っていることがよくわかり、見る側に「次はどんな動物が映っているのだろう?」という期待感をもたせ、最後まで興味をそらしませんでした。
 応募作品の全体を通してみると、自分の人生や身近なできごとを、ナレーション付きの映像で綴っていくという、オーソドックスなスタイルの作品が多かったように思います。
 今、スマホの普及に伴って、映像作品を発表する場が加速度的な勢いで広がっています。動画サイトの隆盛によって誰もが映像作品の作り手となり、発表の場も得て、映像はプロやマニアの独占物ではなくなりました。こうした「映像の一般化」「動画の氾濫」によって、「興味をひく映像」の概念やスタイルも大きく変化しようとしています。
 オーソドックスの良いところは、もちろんこれからも残していくべきですが、次の丹波篠山映像大賞では、スマホ時代の新しいスタイルの映像作品も、もっと見てみたいと思っています。

大同

サンテレビジョン
報道スポーツ局長

石濵 真司 


第32回 丹波篠山映像大賞の感想

 

「どんな名優も、子役(子供)と動物にはかなわない」。大賞作品『僕とおじいちゃん~里山に生きる動物たち~』を観て、そんな言葉を思い出しました。作者の谷口正治さんは、おととし、昆虫のオトシブミの生態を定点観察して大賞を受賞するなど、自然界の生き物の撮影はお手のもの。今回は、監視カメラで捉えた野生動物の生態を、孫の律くんの観察日記風に構成し、全編律くんのナレーションで綴っています。
 夜のイノシシ、タヌキ、キツネ、シカなどの貴重な映像は、新発見が一杯です。イノシシが足を使って、器用に栗の皮をむいて食べる様子にはビックリ。子供目線での語りと、貴重な動物の映像が上手くリンクして、作品の完成度を高めていました。
 兵庫県知事賞『約束』は、映像大賞では珍しいドラマ作品です。実話を基にした悲しいストーリーですが、丁寧なカット割りやドローン映像など、撮影・編集・構成も上手く、非常に優れた作品に仕上がっています。
『大空に一番近い場所』は、静岡大成高等学校放送部の作品で、撮影技術などはプロ級です。しかし、「なぜこの場所を取り上げたのか」などの視点が欲しかったと思います。
『もう一度全国大会へ』は、79歳の八十川一三さんが、障害者の水泳大会に挑戦する姿を自ら描いています。高齢社会の中で、理想的なロールモデルのように感じました。
『GO TO 丹波篠山 泊まれる学校おくも村』は、バスツアーに同行して、二階建てバスから撮影した城下町の風景が実に新鮮でした。
 最近は、カメラや編集ソフトの性能もよくなり、応募作品の撮影・編集技術も向上してきました。しかし、ポイントは「何を撮りたいのか」「何を伝えたいのか」という視点です。視点をぶれる事なく制作すれば、きっと良い映像が撮れ、良い作品に仕上がります。
 さあ! あなたもカメラを持って出かけましょう!

奥野

実行委員長
奥野  勇

「第32回 丹波篠山映像大賞」を振り返って…

 

 新型コロナウイルスの感染拡大により、あらゆる行動が制限される中、映像制作にも大変な制約・ご苦労があったのではないかと推察致します。そんな中にあっても、多くの作品(52作品)をお寄せ頂いたことに感謝致します。
 大賞の「僕とおじいちゃん~里山に生きる動物たち~」は、作者の谷口さんの鉄板ネタに、お孫さんの登場で新しい芽を見た思いがします。動物の生態だけでなく、現代社会の抱える様々な課題が見えてくる作品でした。
 その他の作品も、それぞれ努力賞や敢闘賞でしたが、今一歩、殻を破れなかった分、大賞に届かなかったので、今後に期待します。
 テクノロジーの進歩で、撮影や編集が気軽にきれいに出来るようになりました。アマチュアの方々には、素材の見つけ方次第で身近にネタはころがっていますが、「生きる」というテーマに対しては「何を見るか? どう見るか?」という作者の視点・価値感・人間性が大きく反映されることになります。そういう風に見られると、作品作りや作品鑑賞は、益々深く面白くなっていきますね!

 


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